第32章 予選
ルナに呪印がつけられていることを知らないナルトは、わけもわからずオロオロしている。
ルナはサクラとサスケの意見を笑って受け流した。
「はっはは、信用ないなあ。平気だよ。大丈夫、本当に危なくなったら、降参するからさ、な?」
「でも……」
「それより、ここからは個人戦なんだから、自分のことだけ考えてりゃ良いんだよ。
ほら、俺のことなんか、路傍の石かなんかだと思ってほっとけ!……いつっ………」
ルナはあくまでも言い張ったが、呪印がズキッと痛んだため、顔を僅かにしかめた。
それを見てサスケはルナを説得しにかかった。
「……平気じゃねえだろ。痛みだってずっと堪えてるじゃないか。頼むから、レイ、もうやめてくれ。
そのアザが広がると、お前はおかしくなっちまう。」
ルナはそれに困ったように笑って答えた。
「ははは、サスケ、サスケは俺を誤解してるよ。それだって、俺の一部さ。波の国でのことを、忘れたわけじゃないだろう?」
「それは……」
サスケは波の国でガトー軍団を屠ったルナの表情を思い出した。
ルナは……………確かに、笑っていた。
が、泣いてもいた。
「でも、泣いてただろ……?」
サスケは俯いて言った。
ルナはそれを聞いて、慌てて言い訳した。
「あれはただ、目にゴミが入ったのさ。俺がやった事とは関係ない。俺はそんなに優しくねえよ。」
「でも…お前は俺達に対してはいつだって………」
サスケは論点がずれている事にも気がつかず、ルナの残酷さを否定したくなった。
ルナはそんなサスケに、いつものようににこやかに、優しく笑いかけた。
「大丈夫だ、サスケ。もう暴走しかけたりしないから。それより、勝つ事を考えろ。な?」
「でも……」
それでもサスケは食い下がった。
やがて、辞退の受付は締め切られた。
「ほら、もう締め切られちゃったし。」
「っ…仕方ねえ、気をつけろよ………」
サスケはようやく説得を諦めた。