第31章 死の森
「じゃあ、知ってるでしょう?大蛇丸さんが、暁を抜けた理由。」
「ええ、イタチ君に撃退されちゃったの。てっきり貴女もそうすると思ってたわ。」
大蛇丸が話に入って来た。
「私の目的は、サスケを守る事ですから。それじゃあ木ノ葉に潜入した意味がありません。
私が代わりになってサスケが無事なら、それが私の理想ですから。」
ルナの影分身はそう言ってぱっと笑った。
その天使のような笑顔を見て、大蛇丸とカブトは少し衝撃を受けた。
(ルナちゃん……自分がどんな目に遭うのか、わかっていてそんな風に笑っているの………?)
(この子が……大蛇丸様の器に…………)
ルナに対して微かに沸いた感情に、二人は慌てて蓋をした。
「……まあ、こんなところですかね。大蛇丸さん、カブトさん、くれぐれも変な気は起こさないで下さい。
もし貴方達がもう一度サスケを狙うことがあれば……………………………その時は全力で、貴方達を潰します。」
そう言ったルナの目は、氷の欠片よりも冷たい色をしている。
有無を言わせぬ迫力が、その全身から滲み出ていた。
ルナが無意識に醸し出している殺気から、大蛇丸とカブトは、ルナが本気である事、そして、ルナならそれができる事を悟った。
「……ふふっ…………わかってるわよ、レイ君、いやルナちゃん。そんな野暮なことしやしないわ。」
「ええ……僕は大蛇丸様に従うので………」
大蛇丸とカブトは、若干ルナの気迫に気圧されていたが、顔に出さないだけの分別はあった。
「そうですか、なら、よかったです。あ、俺が木ノ葉にいる間は、カブトさんも私の事は、皇レイとして扱って下さい。」
「うん、わかったよ、レイ君。」
カブトが頷く。
「そうですか。よかったです。では。」
ルナの影分身は、そう言ってポンと消えた。
後には、少しボーっとしている大蛇丸とカブトが残された。