第31章 死の森
「え……大蛇丸様の標的を、知っていた……?」
カブトは更に訳がわからなくなった。
「そうなのよ。レイ君、と言うか、あの子は実は……」
「…………そこから先は、俺に言わせてくれませんか?」
ルナの影分身が、突如姿を現し、大蛇丸を遮った。
「ああら、レイ君、流石ね。全然わからなかったわ。」
そう言ってケタケタと笑う大蛇丸とは対照的に、カブトの背中には冷や汗が流れていた。
(なっ…………全く気配を感じなかった……!)
「まあまあ、そんなに構えないで下さいよ、カブトさん。今、俺、いや私の、本来の姿をお見せしますから。」
カブトが、私、という言葉に引っかかりを覚えた瞬間、ルナの影分身は変化を解いた。
身長が少し縮み、黒い短髪はサラサラの腰下まである銀髪になり、赤かった目は澄んだ青に変わった。
七歳の頃と変わった事といえば、瞳の翳りが大きくなりより儚げな印象になった事と、どことなく女の子っぽくなった事だった。
大蛇丸とカブトは、その美しさにしばし我を忘れ、ルナを凝視した。
(ルナちゃん……本当の姿で会うのは五、六年ぶりだけれど………これは……)
(なっ……お、女の子だったのか!……と言うか、大蛇丸様はこの子に転生するおつもりなのか……なんと言うか…………)
「あのー、私の顔に何かついてますか?」
見つめられるのに耐えられなくなったルナの影分身は、怪訝そうに訊いた。
その声を聞いて、二人は我に返った。
「……いえ、なんでもないのよ。ただちょっと、びっくりしただけ……」
「……いや、まさか女の子だったとは………」
二人は少しあたふたしていたが、ルナの影分身にはその訳はわからなかった。
「……まあ、良いです。改めまして、大蛇丸さん、カブトさん、うちはルナと申します。どうぞよろしく。」
ルナの影分身はそう言って礼をした。
「うちはルナ………五年前大蛇丸様から、生きていたと聞いてはいたが……」
カブトは驚きを隠せない。
(本当に生きて、木ノ葉に潜入しているとは………)