第31章 死の森
ナルトが息を切らして膝をついたのを見て、ルナはナルトの側に瞬身で移動した。
「ナルト、ありがとう。後は俺がやる。」
「レイ!いいとこ取りすんじゃねえってばよ!」
ナルトはルナの予想通り、食ってかかって来た。
ルナはそんなナルトを、ちょっとズルいかな、と思いつつも、子供をあやすような優しい声で説得した。
「ナルト、お前には非常時に備えて少し休んでいて欲しい。お前のお陰で、この試験を突破出来そうなんだ。
俺にも恩返しをさせてくれ。な?」
単純なナルトは、ルナの言葉に心を動かされたようだった。
「レイがそんなに言うなら……わかったってばよ……………」
ナルトは割とアッサリ引き下がってくれた。
サスケ達は、
(レイはナルトの扱いが上手いな…………)
と少し感心した。
「そういうわけだから。俺がお前達を倒す。」
ルナはそう言って柔和な笑みを浮かべた。
(まあ別に殺す必要はないよね。手刀入れてあげよ。)
今のルナは怒りで我を忘れているわけでも壊れているわけでもなかったので、平和的にこの場をおさめることを選択できた。
「へっ、さっきまでただ突っ立ってたお前が、俺達を倒すって?やってみな!
朧分身の術!」
雨忍達の幻が大量に現れ、ルナに攻撃を仕掛けた。
ルナは首筋がチリチリするのを感じつつも、幻達の攻撃を軽くかわし、その影に隠れていた雨忍三人を素早く手刀で沈めた。
「はい、おしまい♪」
ルナはそう言ってニコッと笑ったが、呪印の痛みに僅かに顔を歪めた。
サスケは目聡くそれに気がついた。
(レイ……やっぱり、大蛇丸に付けられたアザが、痛むみたいだな………)
カブトは、ルナの動きを見てルナを訝しんだ。
(皇レイ……明らかに下忍の動きじゃない…………何者だ?)
その時、ルナの服の襟が少しズレて、ルナの首に大蛇丸の呪印がついているのが見えた。
(あれは……大蛇丸様の呪印⁉︎………そうか、サスケ君についていないなと思ったら、大蛇丸様はレイ君を見込んだのか⁉︎)