第31章 死の森
これは仕方のない事だと言ってカブトに勝負を挑もうとするサスケをカブトが諭した。
「嘘だね…………君は自分で言うほど、心を徹し切れていないな………」
カブトの言葉に、サスケが少しきまりが悪そうな顔をする。
「もし君が本当にこの試験にシビアになり切れるなら………どうして僕に勝負など挑む必要がある?
そんな事をしなくても、油断しているスキに奪えばいいのさ………それが忍者だ。」
カブトは眼鏡のブリッジを押し上げながら言った。
カブトの話に、サスケは少しハッとし、ナルトはム〜という顔をしていた。
「僕はそんなに君が嫌いじゃないよ………だから教えよう。君達が進むべき道を。」
カブトがそう言うと、サクラ、サスケ、ナルトは顔を上げた。
「…………ただ、移動しながら話そう。焚き火の煙に焼き魚の匂いがかなり遠くまで届いていた。
このままじゃ猛獣や敵にマークされる。」
カブトを加えた一行は、中央の塔に向かって、移動を開始した。
移動中、ルナ達はカブトから、塔付近で巻物の奪取を目論むべきである事、塔付近には罠を張って待ち構えている受験者がいる事、
余分な巻物を集めようとするコレクターの存在などを聞かされた。
「………あんたが俺達の前に現れた理由がわかったぜ……怖いんだろ、あんたも。」
「……そうだよ。」
カブトはそう言ってサスケに笑いかけた。
(嘘つけぇえぇ!)
ルナは心の中で叫んだ。
だが、カブトが大蛇丸の部下であることを知っていると勘付かれるのもマズイので、顔には出さなかった。
一行は塔が見える位置までやって来た。
「さて、ようやく塔が見えて来た。ここからが正念場だよ。」
「よっしゃあぁ!いくぜェエ!」
ナルトが叫ぶと同時に、一行は背後に気配を感じた。
「‼︎」
「早速敵⁉︎」
「そこだあぁ!」
ナルトがクナイを背後の気配に向かって投げた。
一行が後ろを振り返ってその正体を確認すると、そこには木に張り付けられた巨大な百足がいた。
「なんだ、百足か……」
「……フー……」
「うわあ、あの足の数……気持ち悪〜い!」
「…………」
ナルト達が敵の襲撃ではなかったことにホッとしているなか、ルナはピクピク震えている百足に、静かに手を合わせた。