第31章 死の森
「え………」
(レイがこんなに泣くなんて………)
(レイ君……今のやりとりに泣く要素なんてあったかしら……)
サスケとサクラは、ルナ(今はレイと名乗っている)がポロポロと泣き出したことに狼狽えた。
それもそうだ、暴力を振るう快感に目覚め、狂ったように笑い転げたり、はたまた突然静かに泣き出したり、
今日のルナは感情的にあまりに忙しかったのだから。
普段、常に微笑みを浮かべているのとは、ひどく対照的だった。
「おい、レイ、大丈夫か?」
サスケは戸惑いつつも心配そうに訊いた。
ルナは二人が自分を凝視しているのに気がついて、少し慌てて、目をゴシゴシと擦り、
「大丈夫だよ。ありがとう、サスケ。」
と言ってパッと笑った。
七割は演技だが。
目頭に溜まっている涙が良い証拠だ。
それを見て、サスケはいつかの姉とのやりとりを思い出した。
不意に泣き出したルナを、幼いながらに慰めようとしたとき。
それは懐かしく、温かい記憶だった。
(姉さんもあのとき、こんな風に笑ってた…………
今思うと、姉さんはあのとき俺のために無理して笑ってたのかもしれないな…………
姉さん、すごく優しかったから…………)
「姉さん……」
サスケは思わずそう口にしていた。
(レイが姉さんな訳ないのに……)
呟いてから、サスケは少し自嘲気味に笑った。
それを聞いてルナは慌てた。
(まずい!勘付かれたか⁉︎いやでも、今までのサスケとのやりとりに、そんな要素無かったし……
………探りを入れてみるか………)
ルナはサスケに少し質問してみることにした。