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神隠れの少女【NARUTO】

第31章 死の森


「はっはは、死に損ないはどっちかな?」

土煙が晴れると、ルナはいつの間にかザク・アブミの後ろに回り込んでいた。

そしてザク・アブミを思い切り蹴り飛ばした。

ザク・アブミは吹っ飛び、大木に激突し、ゆっくりと起き上がった。

「なん、だ……お前は……?」

「あははははははははははははははははっ!俺はただの皇レイだよ!なんで皆そればっかり訊くのかなぁ?

まあ、いいや。さ、寝てる暇は無いよ!何しろサスケを襲ったんだから。覚悟してね?

砂嵐の術!」

壊れたように笑い出したルナは砂嵐を起こし、姿をくらました。

視界はゼロになったが、チャクラの位置がわかるルナにとってザク・アブミを見つけるのは容易かった。

サスケとサクラは、ルナの狂気じみた殺気に当てられて、硬直してしまっていた。

(あんなレイ、今まで見たことない……)

(レイ君、人が変わったみたい……)


砂嵐がおさまった時、ルナはザク・アブミを羽交い締めにしていた。

その唇の端は、普段のルナからは想像も出来ないほど、妖艶につり上がっていた。

「あはははははははははははははははっ!ご自慢の腕もこの程度ですか!」


ゴキッ、バキバキッ!


ルナがザク・アブミの両腕を後ろに引っ張って、へし折った。

裂けた皮膚の間から骨が露出して、肩が抜けるまで。

骨が折れる、筋が切れる感触が手に伝わる度、ルナは言葉に出来ない何かを感じた。

「うあぁーー!」

ザク・アブミがみっともなく喚き、目や鼻から薄汚い液体を振り撒く。

「……五月蝿いなぁ。自分で蒔いた種でしょうに……」

ルナはそんなザク・アブミを地面に放って、ゴミを見るような目で見下ろした。

「……ま、いっか。ふふっ……さあて、あと二人。どっちから来ますか?」

ルナは不満そうな表情を緩めると、震え上がっている音忍二人の方を向いて、一点の曇りもない笑顔を見せた。

その笑顔の天使のような清らかさに潜む狂気に、その場にいた全員が凍りついた。

この少年は……例え相手を殺してしまっても、何も気にせずこのままの顔で笑っているだろう。

その恐怖が皆の間を揺蕩い、誰一人として身動きがとれなかった。
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