第31章 死の森
「サクラ、二人の調子はどうだ?」
トラップを仕掛けて帰ってきたサスケが訊いた。
「サスケ君……ダメだわ。二人とも、全然目を醒まさない。
レイ君なんて、ずっと呻いてるし……………」
サクラがルナの方を心配そうにチラリと見た。
「そうか…………サクラ、取り敢えず交代で番をしよう。お前が先に休め。」
「えっ……でも…………」
「いつ敵が襲ってくるかわからない。そんなときだからこそ、ちゃんと体力を回復するべきだ。」
サスケはそう言ってルナの横に座り込んだ。
「サスケ君……わかったわ。」
サクラはそう言って目を瞑った。
あっと言う間に、サクラは深い眠りに落ちた。
サクラが寝てしまった後、サスケはルナの顔を見て考え込んでいた。
(髪の色や目の色を除けば、姉さんに似てなくもない、か…………?
…………まあ、レイが姉さんなわけないが。)
その時、サスケの耳にルナの呟きが届いた。
「イ…チにい、さ……シ…ィさん………たす…けて……」
(何⁉︎今、イタチ兄さん、シスイさん、助けてって………)
サスケはうちは一族の二人の名前が、ルナの口から出てきたように聞こえたことに混乱した。
(いや、聞き間違いだ。レイが姉さんな訳ない。だって姉さんは…………)
横たわる両親、一族、空も同然だった姉の骨壺。
サスケはうちは一族襲撃事件のことを思い出して、拳をぐっと握った。
(……………………だって姉さんは、アイツに殺されたんだ!
殆ど何も残らないほど燃やされて…………消えてしまったんだ‼︎
アイツを殺す…………姉さんの仇は、必ず取る!)
サスケはルナから目を逸らし、改めてイタチを殺す決意を固めた。
目の前にいる姉が、それとは真逆のことを願っているとも知らずに。