第31章 死の森
「まず、大蛇丸さんは、サスケを狙っていますよね?」
「どうしてそれを知っているのか気になるけれど……まあ、今はいいわ。
ええ、確かに、私はサスケ君を狙っているわ。で?」
大蛇丸はまたも驚きを隠し、不敵に先を促した。
「それ、やめてくれませんか?代わりに俺をあげますから。」
ルナが怯むことなく話を続ける。
「そうね、あなたは確かに優秀なようだわ。でも、サスケ君はそれ以上に可能性を秘めている。
…………諦める訳にはいかないわ。」
大蛇丸はそう言い切り、にやりと笑った。
「へえ……俺の正体を知っても?」
ルナもにやりと笑った。
それを聞いて大蛇丸は首を傾げた。
「あなたの……正体?」
「………ええ、実は、俺、と言うか私は、皇レイと名乗っていますが、実は神隠れの末裔、うちはルナなんですよ。
イタチ兄さんを諦めたあなたが、次に狙うのはサスケだと思って、こうしてあなたを待っていたんです。」
ルナがそう言うと、大蛇丸は目を見開いた。
「何ですって……あなたが、うちはルナ…しかも、あの神隠れの末裔………?」
「ええ。信じられないなら、証拠を見せましょうか?」
ルナはそう言って神通眼を開いた。
赤かった瞳が金色に変化し、爛々と輝く。
大蛇丸はそれを見て息を飲んだ。
「それは……伝説の……まさかあなたが保有していたなんて……」
「あ、やっぱり知ってたんですね。流石、研究熱心な大蛇丸さん!」
ルナはさりげなく大蛇丸をおだてた。
サスケは目の前の状況に混乱していた。
(よく聞こえねぇ……レイと大蛇丸はなに話してんだ⁉︎)
サスケはルナの背中を睨むことしかできなかった。
「それで、大蛇丸さん。本当ならさっきあなたを殺しても良かったんですけど……
……なんかあなたって殺しても死ななそうだし。こうした方が、確実かなって。
どうです?サスケに手を出さないって約束してくれるなら、私のこの体、差し上げても良いですけど?」
ルナは迷い始めた大蛇丸に、ダメ押しとばかりに言い放った。
(なーんて、私が数万人の命と引き換えに先祖から受け継いだこの体、絶対あげないけどね。)
ルナは目的のために、手段を選ばなかった。