第31章 死の森
「イッテェ……おいみんな、大丈夫か?」
大蛇丸のチャクラの持ち主が茂みから現れた。
(来た!)
ルナは気がつかれない程度に大蛇丸に注目した。
同時に湧き上がる殺意を、大蛇丸を殺すと色々と不都合だからという理由で押さえつける。
全ての生殺与奪を支配できるだけの力を持った存在として、ルナにはルナなりの理念があった。
「ナルト、ちょっと待ちなさい。合言葉を……」
サクラがナルト(大蛇丸)を促した。
「ああ、合言葉な!わかってるって!
……大勢の敵の騒ぎは忍びよし……
……静かな方に隠れ家もなし……
……忍びにはときを知ることこそ大事なれ……
……敵のつかれと油断するとき。」
ナルトに化けた大蛇丸は、合言葉をつかえることなくスラスラ唱えた。
それを見てサクラは安心して表情を緩め、サスケは不敵な笑みを浮かべて大蛇丸にクナイを投げた。
「うわぁっ!」
ナルトに化けた大蛇丸は慌ててクナイを避けた。
「サスケ君、なんで……?ナルトはちゃんと合言葉を……」
サクラが焦ったように言った。
そんなサクラにルナは訊いた。
「サクラ、ナルトがさ、あんな長い合言葉憶えられると思う?」
「……あ、そうか。」
サクラは納得したようで手をポンと叩いた。
ルナにはナルトが少しだけ不憫に思えた。
「……今度は俺の攻撃を避けるほどのヤツか…………」
サスケは厳しい表情をしていた。
「よくわかったわね……」
大蛇丸はナルトの変化を解き、草忍姿で現れた。
「何故わかった、私が偽物だと……」
「ふ、簡単だ。それはな…………」
大蛇丸の質問に、サスケは、ナルトがいかに馬鹿かと言うことを教えた。
ルナはまたナルトが少しだけ不憫に思えた。