第30章 ペーパーテスト
今、ルナは解き終わった問題を前に考え込んでいた。
(暇……寝てて良いかな……でも、それで摘み出されたら嫌だし………
…………あんまり周り観察して、カンニングと間違われたら困るし………)
問題を解き終わった後、まだ二十分も残っていたので、ルナは暇を持て余していた。
(うーん……あ、そうだ。裏になんか暗号文でも書いて、暇潰ししよう!)
そこでルナは好きな歌の歌詞を暗号化して書くことにした。
(………二度と戻れない………あ〜、良い歌だな……)
大好きなその歌詞を、ノリノリで暗号化していると、試験官の一人が、
「おい!そこ!」
とルナの方を指差してきた。
(え?カンニングじゃないんだけど!)
ルナが慌てていると、試験官ががなり立てる。
「お前だ、お前!そこの茶髪!」
そして、ルナの横に座っていた忍は、試験官に連行されて出て行った。
(なーんだ、私じゃなかったか。)
一安心したルナは、また暗号化を始めた。
(………願うなら生を……止めてあげる……うーん、こっちも良い歌だな〜)
ルナは歌詞のホラー具合を余り気にしていなかった。
ルナがちょうど三曲目の暗号化を終えたとき、十問目の説明が始まった。
十問目を受験して、この問題に不正解だった場合、
中忍試験の受験資格を永久に剥奪するという説明がされると、受験生はざわめいた。
(これ、知らなかったら、私降りてたかもな……知らないみなさん、ご愁傷様!)
ルナは何も知らない受験生達に、少し同情した。
説明を聞いて、何人かが試験室を出て行った。
試験を降りたいという受験生がいなくなると、森野イビキが高らかに宣言した。
「今ここにいる全員に、第一の試験合格を言い渡す!」
そして、森野イビキは中忍の心構えについて何やかんやと講釈を垂れた。