第29章 中忍試験開幕
するとイタチは、
「じゃあ、ルナは一生写輪眼なんか開眼しなくて良い。」
と言い切った。
イタチは、自分が写輪眼を開眼したときのことを思い出して、身震いした。
(もうルナをあんな目に遭わせてたまるか………)
その様子を見て、鬼鮫、小南、ペインは、
「シスコンですね…」
「シスコンね…」
「シスコンだな…」
と言って呆れていた。
その日、ルナは暁のアジトに泊まっていくことにした。
夕食のとき、イタチの食事の量が少なかったり、薬を飲んだりしている様子が無いのを見て、
(指輪の効果かどうかわかんないけど、イタチ兄さんは元気みたいだな……)
と思った。
するとイタチが、人差し指の白い指輪をそっと撫でて呟いた。
「…ルナの指輪のお陰かわからないんだが、最近体調がバカに良いな………
…それに、チャクラ切れも起こさなくなったし…ルナ、これはなんなんだ?」
「あー、それはねぇ……」
ルナは言おうか迷って、イタチに嘘はつきたく無いと思い、言うことにした。
「イタチ兄さん、それはね、チャクラを貯めておいて、身体に弱った部分が出来たときとか、
チャクラ切れになったときに、自動的にチャクラを補給して、体調不良を改善するんだよ。
だから一度に使い過ぎないように、気をつけてね。」
「あ、ああ。」
イタチはルナの説明の内容を予測していたとはいえ、やはり驚いて、それだけ言った。
鬼鮫、小南、ペインは、
(ルナ…器用だな………)
と、感心していた。
そして一晩が過ぎ、ルナは木ノ葉に帰ることになった。
「じゃあ、イタチ兄さん、今日から中忍試験だから。行ってきます。」
「中忍試験か…懐かしいな………わかった、行っておいで。」
イタチはルナとマンセルを組んで挑んだ中忍試験を思い出し、フッと笑った。
(あの頃は、本当に、幸せだったな………)
「じゃ、また来るね!イタチ兄さん、暁のみなさん、お元気で!」
ルナはそう言って木ノ葉に飛んだ。