第29章 中忍試験開幕
ルナは家に入ってから、変化を解き、暁のアジトの自分の部屋に飛んだ。
ガチャ
「みなさん、お久しぶりです!」
部屋のドアを開けてルナが挨拶すると、その場にいたイタチ、鬼鮫、小南、ペインが顔を上げた。
「あら、ルナちゃん。久しぶりね。」
小南がそう言うと同時に、イタチが真っ先にルナに駆け寄り、抱きしめた。
「わわっ!イタチ兄さんどうしたの?」
ルナはイタチがルナを抱きしめたまま沈黙しているのを不思議に思って訊いた。
「ルナ………」
イタチはそれには答えず、ルナを離そうともしなかった。
ルナの疑問に、イタチの代わりに鬼鮫が答えた。
「ルナさん、イタチさんは、あなたが出て行ってからずっと、
『ルナ…元気にしているだろうか……』
『ルナ…また一人で苦しんでいないだろうか……』
『ルナ…帰って来ない…まさか……』
なんて言ってたんですよ。もう少し頻繁に帰って来てあげて下さい。
最近イタチさんの機嫌が悪くて悪くて………」
最後の方は愚痴になっていた。
それを聞いて小南とペインはうんうんと頷いた。
「五年も一緒にいたルナちゃんが急にいなくなったから、私も寂しかったわ。」
「俺も、少しだけ…」
二人ともちょっと恥ずかしそうに言った。
「あ……イタチ兄さんごめんなさい…もっと頻繁に帰って来るね。」
「…ああ…頼むぞ………」
イタチはルナを抱きしめたまま言った。
落ち着いたイタチにルナは波の国でのことや今までの任務のことなどを報告した。
勿論、再不斬と白を神隠れに匿ったことや、ルナがガトー軍団を屠ったことは内緒だが。
イタチはルナの話を、穏やかな笑みを浮かべて聞いていた。
「でね、イタチ兄さん!サスケがやっと写輪眼開眼したんだよ!」
「そうか、サスケが…………ところでルナ、お前はまだなんだな。」
イタチは、そういえば、という風に言った。
「………写輪眼を開眼するには、それなりに危ない目に遭わないといけないから…じゃない?」
ルナは、神通眼の影響で私は写輪眼を開眼することはありませんとは言えなくて、そう言った。