第28章 子守任務
次の日も、七班一行は梵天丸と一日中部屋で遊んでいた。
今日は、カカシ達もボロ負けという訳ではなかったが、ルナと梵天丸が双璧であることに変わりはなかった。
そろそろ子守役のギックリ腰が治りそうだということで、明日帰ることになった。
その日の深夜も、ルナはサスケが寝付いたのを見届けて、布団を抜け出した。
廊下に出て、床が軋む前に、手すりを超え一気に遥か下の地面まで飛び降りた。
着地した瞬間、素早く転がって、衝撃を殺した。
足が少し痺れたのも気にせず、ルナは湯殿に向かった。
またも男湯に入り、一人きりで湯船に浸かる。
「…………ふぅ。今日はカカシ先生、ついて来てないな。」
ルナは不用心に独り言ちた。
「…………飛び降りた甲斐があったかな?」
完全に一人のせいか、普段は心の中で呟くだけで声に出さないことが、ポンポン出てくる。
頭上では月が絢爛と輝き、あたりは静寂に包まれていた。
それを破るのは、ルナの呟きだけだった。
「……………イタチ兄さんも、この月を見てるのかな?」
ルナは遠いところにいる愛しい兄のことを思い浮かべた。
「………あ、そうだ。」
ルナは右腕を空に向かって突き出すと、指先に命遁チャクラを集めた。
一瞬後、ルナの指先には、薄紫に輝く小鳥の形をしたものがいた。
「行け、欣喜雀躍。イタチ兄さんのところへ。」
ルナが腕を振り上げると、欣喜雀躍は真っ直ぐ夜の空へ飛び立った。
ある程度上昇すると、イタチに向かって一直線に飛んで行った。
ルナは漆黒の空に輝く星に紛れた欣喜雀躍を見届けると、湯船の中でボーっとした。
(カカシ先生は最近なんか変だ………昨日はいきなりくっついて来たし。波の国でだって…………
………はっ!まさか、カカシ先生はゲイなのか………?いやでも、イチャイチャパラダイスが好きなら、そんなわけはない。
…はっ!…もしかして、カカシ先生はバイなのか?………まあ、サスケを守ることに差し障りはないから、どうでもいいか。
………カカシ先生がサスケに手を出すとは考えにくいし………)
ルナはカカシの奇行には自分にも原因があるということには気がついていなかった。