第28章 子守任務
カカシがさっきと同じ出で立ちで男湯に入ると、ルナが湯船の中で眠っていた。
(レイはなんでこんなところで寝てるんだ……?)
カカシがルナを起こそうと、肩に手を伸ばしたとき、ルナが小さく呟いた。
「………ごめんなさい。」
「……え?」
カカシは少し経って、それが自分に向かって言われた訳では無いことに気がついた。
(レイは一体誰に謝って………)
カカシが固まっている間にも、ルナの呟きは続く。
「……………ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさ…………」
ルナの苦しげな呟きは、温泉の湯気に紛れて消えて行った。
「………レイ!おい、レイ!」
カカシはそれを聞いていられなくなって、ルナの肩を掴んで揺すった。
「…………ん、カカシ先生ですか。」
目覚めたルナは、何事もなかったかのように、眠そうな顔で、カカシを見た。
その目はトロンとして、焦点が定まっていなかった。
「……どーしたんですか?こんな時間に?………ふふっ…まさか、俺をつけて来たんじゃないですよねぇ?」
ルナの唇は緩く弧を描いていた。
今のルナには、カカシが腰にタオルを巻いているかいないかなんていうのは、些細な問題だった。
妖しく笑うルナに、カカシは何故かドキリとした。
が、それを顔には出さなかった。
「…………別にそう言う訳じゃないが…レイはなんでこんなところで寝てるんだ?風邪引くぞ?」
「別に、風呂に入り直してるだけですよぉ。後、俺は風邪は引きません。ご心配なさらず。」
そう言ってルナはカカシから目を逸らした。
「………そう。じゃあ俺も…………」
ルナの様子に危うさを感じたカカシは、そう言ってルナの隣に入って来た。
ルナは顔には出さなかったが、溜息を吐きたくなった。
(もーこれじゃリラックスどころじゃないよ〜)
でも、先に出るのもなんだか嫌だったので、気にしないことにした。
半目を閉じていると、眠気が戻って来た。