第26章 再戦
「なんだぁ?ガキ一人で俺らを倒せると思ってんのか?」
残党の最前線にいた下品な顔の男が言った。
「えーえ、そうです。ただ、一人ではありませんが。
影分身の術!」
ルナは控えめに十体、影分身を出した。
「さあ、行きますよ。俺に刃を向けたことを、あの世で後悔させてあげます。」
(はあぁ………面倒臭い………この三下どもが…………
……………まあいいや。どうせみんな、死ぬんだしね………いや、私が殺すんだしね……………
…………私に武器を向けたんだから、言い逃れは通用しないよ?)
ルナ達は暗部時代と同じ笑みを浮かべ、残党を迎え討った。
ルナはサスケ達に切り傷一つ負わせないように、と、向かってくる敵を片っ端から殺していった。
斬って、跳んで、斬って、蹴り倒して、斬って、跳んで。
ルナがここにいることで生じている不確定要素のため、
ナルトの影分身や、イナリの増援を100%期待する訳には行かないからだ。
敵を切り裂いている間、ルナの頭の中には、前世で聴いた歌が流れていた。
現実では、音楽の代わりに敵達の呻き声がしていたが、ルナの耳には届かなかった。
返り血が飛んで来ても、敵を切り裂いたときの感触が腕に伝わっても、今は何も感じなかった。
ルナは目の前の敵達に、1mmたりとも同情していなかった。
だが、ルナは確かに微笑んでいたのに、何故か、目は涙で僅かに光っていた。
ルナ本人はそのことには気がついていなかった。
ただ、視界が少し悪いなと思っただけだった。