第26章 再戦
「小僧……それ以上は……何も言うな………」
ナルトに背を向けて言った再不斬の声は震えていた。
「……!」
ナルトは再不斬の声が震えているのに気がついて、顔を上げた。
「白……あいつは俺だけじゃない、お前らのためにも心を傷めながら戦っていた………
…………俺にはわかる。あいつは優しすぎた。」
再不斬が口布を噛み切る。
「小僧、結局はお前の言う通りだったな。忍も人間だ。感情のない道具にはなれないのかもな。
…………俺の負けだ。」
そう言ってガトーを殺しに行こうとする再不斬に、ルナが駆け寄った。
「再不斬さん、俺がガトーまでの道を作ります。再不斬さんはガトーを殺って下さい。」
「レイか……お前、俺を庇ったときの怪我は平気なのか?」
再不斬が珍しく人の心配をした。
「俺は全然平気です。再不斬さんこそ、気をつけて下さいね?いくら相手がただの人間でも、数が数ですから。」
ルナはそれにイタズラっぽく笑って答えた。
「へっ、そうかよ……じゃ、行くぞ!」
「はい、再不斬さん。」
再不斬とルナは、ガトー軍団に向かって行った。
ルナは再不斬の前に立ち塞がる敵全てを切り裂き、排除していった。
顔や服に血がはねても全く意に介さず、敵を切り裂くことに集中している姿は、殺戮兵器そのものだった。
見えない方向からの攻撃にも難なく対応する様は、到底アカデミー卒業したての下忍ではなかった。
(レイ………こいつ……強い。)
再不斬はそれに驚きつつも、ガトーに向かって突進して行った。
カカシ、サスケ、サクラ、ナルトは、ルナの動きに度肝を抜いた。
一瞬のうちに何人もの喉から血が噴き出し、ガトー軍団はみるみるうちに減っていった。
ガトー軍団の攻撃をかわしながら敵の喉を掻っ切るルナは、うっすらと微笑みをたたえていた。
(あれが、レイの実力…もしかしたら、俺よりも………)
(何て速い……写輪眼でも見切れん……)
(レイ君……凄い。私と修行してたときとは全然違う………)
(レイのヤツ、何であんなにためらいがねーんだ?)
ルナはカカシ班に更に怪しまれたことに気がついていなかった。