第26章 再戦
ルナの言葉に、白は目を見開いたが、すぐに元の表情に戻ってしまった。
「それでも………再不斬さんにとって弱い忍は必要ない。
レイ君は僕の存在理由を奪ってしまった。」
それを聞いていつの間にかやって来たナルトが叫ぶ。
「なんであんなヤツなんかのために……悪人から金もらって悪いことしてるじゃねーか!
お前の大切な人ってあんな眉なし一人だけなのかよ!」
それを聞いて白は、初めて自分の話を始めた。
「ずっと昔、僕にも大切な人がいました……僕の両親です。
………僕は霧の国の雪深い小さな村で生まれました。」
白は幸せだった幼い頃を思い出した。
(幸せだった。本当に優しい両親だった。)
「……何があったんだってばよ?」
ナルトが訊いた。
「血……」
白が小さく呟いた。
「え?」
ナルトは聞き取れずに聞き返した。
「この血……」
「だから、血がなんなんだってばよ⁉︎」
ナルトは訳がわからないというように叫んだ。
だが、サスケとルナは、それの意味するところを理解していた。
(血継限界か……)
(霧の国って陰湿だな〜。あーやだ、やだ。)
「父が母を殺し、そして僕を殺そうとしたんです。」
白はナルトの瞳を真っ直ぐ見て言った。
ナルトはその言葉に、思わず、
「え……」
と声を漏らした。
サスケの脳裏には、うちは一族襲撃事件が蘇る。
(いつか…………必ず………あいつを………)
ルナは、『白さん、全てを犠牲にして一人だけ生かされる気持ちは、わかりますか?』
とか言いたいのを堪えた。
「絶え間ない内戦を経験した霧の国では、血継限界をもつ人間は忌み嫌われて来ました。」
「ケッケイゲンカイ……?」
ナルトがまたも訳がわからない、という顔で言った。
「僕のように特別な能力をもつ血族のことです。そこの二人もそうみたいですね。」
白はルナとサスケをチラっと見ながら言った。
「その特異な能力の為、そのような血族は散々争いに利用された挙句、
国に災厄と戦禍をもたらす存在として恐れられました。
戦後、そのような血族達は自らの血のことを隠して暮らしました。
その秘密が知られれば、必ず死が待っていたからです。」
白はそう言って辛そうに目を伏せた。