第25章 波の国
「そう、後です!
………再不斬さん、ガトーがあなた方を裏切ります。」
「……何でそれがわかる?」
再不斬がルナをギロリと睨んだ。
「奴は徹底した拝金主義。あなた方を、依頼料が安くて、処分が楽な駒とみなしているでしょう!」
「………そーかもな。で、それとお前に何の関係が?」
「だって……再不斬さんが死んじゃったら、悲しいんですよ………」
ルナはそう言って目を伏せた。
それを聞いて、再不斬と白が、はっ?という顔をした。
「お前よぉ……骨のある奴だと思ってたが………変な奴だな。鬼兄弟は殺したクセに、よく言うぜ。」
再不斬が呆れたように言った。
「再不斬さんは特別ですから……あとそこの君も。そう言えば、君の名は?」
ルナはいきなり白に訊いた。
(知らないふりしとかないと、色々面倒だからな………)
ルナはニコニコと笑いながら、白の回答を待った。
「僕ですか?………僕の名は、白と言います。」
白は少しおずおずしながら言った。
「そう、白さんとおっしゃるんですか!………俺から貴方がたに、提案があります。聞いていただけますか?」
ルナは最大限丁寧に訊いた。
「ま………良いだろう。聞いてやる。」
再不斬は機嫌がいいのか、割とあっさりそう言ってくれた。
「ありがとうございます。では………」
ルナは頭を下げて礼を言うと、スッと息を吸い、口を開いた。
(皇レイ君…………そう言えば、一体どうやって、ここに来たんでしょうか………まさか、尾行されていた?
いや、僕も再不斬さんもそんなの感じなかったし………それに再不斬さんに提案だなんて、どう言う風の吹きまわしでしょう………)
白は目の前で進んでいくやりとりを、ちょっとオロオロして見ていた。