第25章 波の国
「よ、イナリ君。」
「何だよ……」
「まーそう睨むなって。」
ルナはそう言ってイナリの横に座った。
「イナリ君、まあ、あとちょっとだけ辛抱してくれ。俺らがタズナさん守り通して、橋が完成すれば、全てが変わるから。」
「……にいちゃんに、守りとおせんのかよ?」
「はっはは、任せとけ。俺が任務に失敗したことは、一度として無い。」
「……どーだか。」
イナリがそっぽを向いて言った。
「ま、イナリ君、男なら後悔しない生き方を選べよ!じゃな。」
ルナは驚くイナリのそばを離れて、影分身を出して家に戻らせ、白と再不斬のチャクラに近づいて行った。
(にいちゃん……何で……)
イナリはカイザと同じことを言ったルナの背中が見えなくなるまで、ルナが去った方向を見ていた。
ルナが白と再不斬のチャクラを感じる方向に向かうと、森の中に小屋があった。
(ははーん、ここだな。)
コンコン
……返事なし。
(仕方がないな。)
「再不斬さーん、皇レイでーす!お見舞いに来ましたよー!」
……無音。
「害意は無いので、ちょっとお話してくれませんかー?今ここにいるのは、俺だけです!」
(ダメか。)
ルナがそう思ったとき、小屋のドアが開いた。
「………君は、あの時の……」
白がルナの顔を見てやはり、という顔をした。
「どうも、皇レイです。再不斬さんに、お話があって来ました。武器は持ってません。」
「………信じられませんね。」
「じゃ、身体検査でもして下さい。本当にクナイ一本も持ってませんから。」
「………わかりました、良いでしょう。再不斬さんも君と話したがっていました。」
ルナは簡単な身体検査を受け、再不斬と白のアジトの中に入った。
「どうも、再不斬さん!元気ですか?」
ルナは再不斬が殺気を飛ばしてくるのにも構わず、ニコニコして言った。
「まあまあだな。で、話って何だ?もう来んなってか?」
再不斬がベッドの上から偉そうに言った。
「いやいや、違いますよ。来た後の話です。」
「後?」
再不斬と白はキョトンとした。