第22章 木ノ葉へ、再び
次の日。
今日は合格者説明会だった。
カカシに正体を悟られないよう、ルナは気を引き締めた。
「ちょっと、そこの席通してくれる!」
サクラが、直ぐに退かないナルトに怒鳴り出した。
「ナルト、退け!私はアンタの向こう側に座りたいのよ!」
(始まった始まった。)
ルナはこれを一番近くで見たくて、ナルトとは反対側のサスケの隣に座っていた。
ナルトが行儀悪くも机に乗ってサスケにガンを飛ばしているのを、ルナはサスケの横から笑いを堪えて見ていた。
だが、ちょっとサスケの側に寄り過ぎていたらしい。
前の席の人に押されてよろめいたナルトの唇は、あろうことかルナに向かって来た。
「え……」
そしてそれは、ルナの桜色の柔らかな唇にぶつかり、押し潰した。
つまり、気が緩んでいたルナは、ナルトとキスをすることになってしまった。
(前世でも他人とキスしたこと無いのに……ま、でも、サスケを守ったって考えることも出来るかな?)
教室に一瞬の静寂が訪れた。
一瞬後、ナルトは叫び出した。
「ぐおおぉお……俺のファーストキスが〜〜〜!」
(あ、口が腐る、じゃないのね。)
ルナは口が腐るとは言われなかったことに、ちょっとホッとした。
「あー……ナルト、これは事故だ。ノーカンだ。気にするな。」
ルナは大して気にした風でもなく言った。
「ナルトおおぉおぉ!レイ君に何してんのよー!」
ナルトはサクラに怒鳴られて慌てた。
「サクラちゃん、これは事故、事故だってばよ!」
「……ナルト、アンタね……うざい!」
サクラが指の関節をポキポキ鳴らした。
(あららら、何でこうなった?)
ナルトとキスしたのがサスケではなくルナだったにも関わらず、ナルトはサクラをはじめとしたくノ一にボコボコにされた。
「レイ、大丈夫か?」
サスケが珍しく人の心配をした。
「ああ、うん。気にして無いよ。それより、サスケが嫌な思いしなくて良かった。」
そう言って笑ったルナ(今は男に変化している)の顔が、
サスケには一瞬亡き(とサスケは思っている)姉と重なって見えた。
(姉さん……?いや、ただの見間違いだ。)
サスケは自分の考えを打ち消した。