第20章 平和の影に犠牲あり
ある日のアカデミー。
サスケは、いつも通り、一人で下校しようとしていた。
「なあオイ、サスケ!」
それを、なんとナルトが呼び止めた。
「何だよ?」
サスケは嫌そうに振り向いた。
「お前、最近どうしたんだってばよ?」
「お前には関係ない。」
そう言って立ち去ろうとするサスケに、ナルトの言葉が突き刺さった。
「ははーん、さては最近姉ちゃんが全然来てくれないから寂しいんだってばよ?」
それを聞いて、サスケはキレてしまった。
「…………っ…お前に何がわかる!」
サスケそう怒鳴って、足早にアカデミーを後にした。
「え……?あいつ、何なんだってばよ……?」
ナルトは訳もわからず呆然とした。
「ちょっと、ナルト!アンタ知らないの⁉︎」
サクラがナルトに詰め寄った。
「知らないって…何のことだってばよ?」
サクラの様子から、流石のナルトも、これが笑い話ではないことを悟った。
「サスケ君のお姉様、ね…………………
………殺されたの。」
「えっ?」
「お姉様だけじゃなくて、うちは一族は、サスケ君を残して、全員殺されたの。」
「………そんな……知らなかったってばよ………」
ナルトはがくりと膝をついた。
(じゃあ、俺…サスケに何て酷いこと……………)
「ナルト、アンタのこと嫌いだったけど、撤回するわ。
アンタなんか、大大大大大嫌い!」
サクラはナルトにそう言い捨てて、去って行った。
(ルナ姉ちゃん………)
ナルトの脳裏に、ナルトがみんなから疎んじられていた時代に、元気づけてくれたルナの笑顔が浮かんだ。
もう会えないかと思うと、ナルトの目に自然に涙が溜まった。
(俺だって、悲しいってばよ………)
ナルトは泣き顔を見られないように、下を向いて、走って帰った。