第20章 平和の影に犠牲あり
うちは一族襲撃事件が起こってから、はや一週間。
里は、いつも通りの活気を取り戻していた。
…うちはサスケを除いて。
サスケはアカデミーなど家の外では、努めていつも通りに振舞っていたが、家に帰ると、毎日のように泣いていた。
イタチが、フガクを、ミコトを、ルナを、一族を殺した。
あの優しいイタチがそんなことをするなんて、思えなかったけれど、この目で遺体を見てしまっては、信じるしか無かった。
ルナに至っては、燃えてしまって殆ど残っていなかった。
(あんなに仲が良かった姉さんを、兄さんが殺すなんて…………)
サスケの脳裏に、襲撃事件前の日常が蘇る。
失って初めて、自分が幸せだったことを知った。
家族との思い出が、浮かんでは消えて行った。
暫く経つと、サスケは泣かなくなった。
代わりに、がむしゃらに修行に打ち込んだ。
家族を失った悲しみが去った後を、復讐心が埋めた。
(兄さんを…うちはイタチを、必ずこの手で……………殺す!)
サスケの孤独な戦いが、始まった。