第4章 依り代の真実
私は冷や汗をかいていた。
私は今、もしかして、とんでもない立場にいるんじゃないか?
考え込んでいたら、二人が戻ってきたのに気付くのが遅れてしまった。
「ルナ…………!聞いてたの?」
「…………うん。でも、いいよ。わたし、次の"よりしろ"になる。そうすれば、みんなしあわせにくらせるんだよね………?」
語尾が少し震えてしまったが、言い切った。
一度死んだ身だし、生きる意味を見つけた今、この志を全うする為に、いかなる犠牲でも払う覚悟だった。
お母さんはそんな私を見て、泣きながら私を抱き締めた。
でもすぐに離れて、何やら仕度を始め、お父さんは何とかぶつぶつ言って、何か大きなものを二匹呼び出して、私を外に連れていった。
片方は、薄紫の羽根に深緑の目をした鳥だった。
もう片方は、銀色に輝く体毛とアイスブルーの目をした狼のような獣だった。
どちらも神々しいほどに美しかった。
「李蘭と那由他だよ。代々の神皇一族の長に仕えてきた神鳥と神獣だ。
…………李蘭、那由他、最後の命令だ…………ルナとともに木ノ葉隠れの里に行って、面倒を見てやって欲しい。
…………………それから、神隠れを離れ次第、お前たちの主人はルナだ。」
『神影様、しかし…………』
おそらく、李蘭と呼ばれた方が、頭の中に響く声で言った。
「…………頼む、最後の命令だ。」
『…………御意。』
私はまだ、目の前の二匹の美しさに呆然としていた。
そうしたら、李蘭と呼ばれた方が、頭の中に直接話しかけてきた。
『ルナ様、私は李蘭でございます。こっちは那由他。今日から私達はあなたの僕です。何なりと申し付けてください。
……………といっている場合ではありませんね。急ぎましょう。』
あっと言う間に私は李蘭の背に乗せられた。
「ルナ、元気でな。」
「ルナ、元気でね。木ノ葉隠れに着いたら、火影のところへ行きなさい!」
お父さんもお母さんも、目だけは、この別れが今生の別れだと語っていた。
二人に見送られて、私は空へ舞い上がった。