第19章 暁
ルナも加わった一行は、飛段を見つけた。
「イタチ兄さん、小南ちゃん、あの男です!」
ルナが木の後ろに隠れながら言った。
ルナの説明に完全に一致する男が、丸太に座っていた。
「私が行くわ。」
「小南ちゃん、気をつけてね!」
「ええ。」
そう言って小南は飛段の前に出ていった。
「ようそこのアンタ!ジャシン教に入らねえか?」
飛段は予想通りのセリフを吐いて来た。
(ルナちゃん……情報が正確だわ………)
「どう言うものなの?」
小南は一応訊いてみた。
「人を殺しても何ら裁かれることは無い。それどころかジャシン様は更にお喜びになるんだよ。」
「そう。」
(本当にルナちゃんの言う通りみたいね……)
「やはり貴方が連続殺人鬼みたいね。」
「殺人鬼?そりゃねえぜ。俺はジャシン様に祈りを捧げてるだけだ。
お前もジャシン様に捧げるしかねえようだな。」
飛段はそう言って、大鎌をブンと振った。
そこに、ルナ、イタチ、角都が出てきた。
「どう?」
「どうやら本当に、穢土転生では無いようだな。」
「それなら、どう言う不死身か俺が試してやる。」
飛段は角都の発言の意味は考えずにそのまま喋った。
「何だお前ら揃いの服着て楽団か?音楽ユニットか?しかもガキ連れかよ。」
四人が呆れている間にも飛段は喋り続けた。
「そこの鬱陶しそうなのがベースで、姉ちゃんがボーカル兼キーボード。いや、ボーカルはそっちの兄ちゃんか?
で、そこのガキはタンバリンと。」
ルナは、前世の得意分野が歌だった為、つい言い返してしまった。
「あのー、私の得意分野は歌なんですけど………」
「おおーそうか。じゃ兄ちゃんはギターだ。」
(ルナ……そうだったのか……って、そうじゃない。)
(へえ……後で聞かせてもらおうかしら………)
(どうでもいいだろそんなこと……)
暁のメンバーの頭の中は三者三様だった。