第19章 暁
ルナは少し口を滑らせて慌てた。
「知ってるって言うか……面識はないけど、向こうの顔と能力はわかりますよ。」
「どこでそんな情報を手に入れたんだ?」
角都が珍しくルナに話しかけた。
「まあ、木ノ葉の闇、ってところです。」
ルナは前世の記憶ですー、とは言えなくてぼかした。
「ハッ、テメエもなかなかムカつく野郎だぜ……」
角都が呟いた。
「それで、奴はどんな奴なの?」
小南は冷静に訊いてきた。
「名は飛段。
外見は、銀髪のオールバックに、そこの地面に描いてあるのと同じモチーフのネックレスをして、
フードにもふもふのファーがついたパーカーを前を開けてシーズンレスで着て、大きな鎌を持っています。
通行人とか、たまたま出会った他人に、『ジャシン教に入らねえか?』と強引に勧誘し、
入ると即答しなければ、殺そうとします。
ジャシン教とは、殺戮を教義とする邪教です。
奴は他人の血を舐めることで相手に自分のダメージを伝染させる術を使います。
穢土転生ではありません。自分の意思で動いています。
奴は不死身です。はっきり言って、殺すのは無理です。それよりも、暁に勧誘することをお勧めします。」
ルナの事細かな説明に、他の三人は驚いた。
「もしそれが本当なら、角都の相棒にぴったりね。」
小南が言った。
「ああ。その為にも、まずは攻撃を仕掛けてみなくちゃあな。」
角都は少しやる気を出したようだ。
「やっぱり一回は仕掛けるんですか……
……じゃ、イタチ兄さん、小南ちゃん、ちょっと失礼。」
「?」
(命遁・守護遁甲!)
ルナは、イタチと小南に、不可視の小規模な結界をかけた。
この結界は、物理的防御と、物質的防御を両立させた、ルナが今使える最強の防御結界だった。
そのぶんチャクラの消費は多いが、チャクラを無尽蔵に持つルナにとってそれは些細な問題だった。
「……何をしたの?」
「これから暫く、イタチ兄さんと小南ちゃんは、あらゆる攻撃を受けなくなります。
ただ、私から1km以上離れると、無効になるので、注意して下さい。」
ルナが説明した。
「わかった。」
「わかったわ。」
イタチと小南は頷いてくれた。
(ルナちゃん……ただ者じゃないわね。)