第19章 暁
そして、作戦の日になった。
湯の国へ出かけていく三人を見送るふりをして、ルナは影分身をおいて出かけた。
小南対策に、欣喜雀躍の小鳥型のチャクラを大量に飛ばしてから、迷彩隠れの術で姿を眩ました。
一行は湯の国の森の中に、手を木に張り付けられている死体と、地面に血で描かれた紋章らしきものを見つけた。
「………近くにいるわね。」
「ああ。金目当てでも無ければ恨みでも無い。単に殺したくて殺したな。」
角都が死体を見上げた。
「殺戮がしたいなら別のやり方もある。何か目的があってのことだろう。」
イタチはそんな人間がいることを認めたくなかったようだった。
「やはり俺をイラッとさせやがるなテメエは。」
「はいはい、そこまでよ。」
小南が角都を止めた。
「それでお前は俺がイタチを殺さないように見張りに来たのか?」
「他に感知タイプがいないから。それに、他のメンバーではとても囮になれないから。
……見張りは私じゃなくて、他にいるわ。」
「他に見張りだと?」
角都が聞き返した。
(まさか……)
イタチは嫌な予感がした。
(あー、やっぱ気づかれたか……チャクラの位置を撹乱しても、湯の国じゃ逆に目立ちまくり、ってことか………)
ルナはちょっとがっくりした。
「ルナちゃんでしょ。隠れてないで出て来なさい。」
「……はい。」
ルナはそう言うと、迷彩隠れの術を解いて、近くの木の上から飛び降りた。
「はは、小南ちゃんには敵わないですね。一応、気配を撹乱してたのに。」
ルナは苦笑いして、頭に手を置いた。
「確かに、どこにいるのかは分からなかったけど、私達と一緒に大量のチャクラが移動しているんだもの、
湯の国じゃ目立ち過ぎよ。」
小南が最もなアドバイスをしてくれた。
「あははは……精進します。」
ルナはそう言って、ぺこりと礼をした。
「おい……ルナ。」
イタチはまた下を向いてプルプル震えている。
「あ……」
(イタチ兄さん怒ってる!ヤバイ!)
「イタチ兄さんごめんなさいっ!でも……心配で……
……それに私、そいつのこと、知ってるから。」
ルナは思わず言い訳した。
「えっ?」
小南、角都、イタチの声が揃った。