第19章 暁
「ただいま〜」
自分の部屋から出て来たルナにイタチはサッと駆け寄った。
「ルナ、デイダラと何処行ってたんだ?」
「ちょっと砂漠地帯に……って、イタチ兄さんどうしたの?」
イタチが下を向いてプルプル震えている。
ルナがよくわからないでいると、鬼鮫が教えてくれた。
「ルナさん、出掛ける時は行き先くらい教えてから行きましょうね?
イタチさん、とっても心配してましたよ?」
「あ……イタチ兄さん、ごめんなさい……」
「ルナ……もういきなり消えたりしないでくれよ……」
イタチが暗〜い声で言った。
「ごめんなさい!もうしません!」
ルナはイタチに手を合わせて謝った。
(シスコンだ……)
(シスコンだな……)
(シスコンね……)
そんな二人を他の暁のメンバーは、生温かい目で見ていた。
ガチャ
ルナより少し遅れて、ルナの部屋からデイダラが出て来た。
「お、デイダラも帰ったか。」
「リ、リーダー……」
「どうした?」
ペインは様子がおかしいデイダラに訊いた。
デイダラはペインの耳に口を寄せてひそひそ話しをした。
「おい、リーダー、ルナはナニモンなんだ?」
「俺はイタチの妹だということしか知らないが……」
「さっきルナが砂漠に連れてって術を見せてくれたんだ、うん。
そしたら、ルナってば100mくらいあるクレーター作りやがったんだ。」
「100mのクレーター⁉︎」
ペインは思わず少し大きな声で言ってしまった。
「しっ、静かに!」
「悪い。」
「本当に何も知らないのか?」
「お前の方こそ、まさかルナの通り名を知らないのか?」
ペインは少し呆れたように言った。
「ルナの通り名って何だよ?」
デイダラはペインに食ってかかった。
「本当に知らないのか……標的になる前にルナが木ノ葉を抜けていて良かったな。
ルナの通り名は、死の天使、だ。木ノ葉の暗部で抜け忍や忍者集団の討伐・殲滅を担当していた。」
「え……」
デイダラは思わずルナを凝視した。
(マジかよ……)
そのルナはイタチと楽しそうに談笑していて、何処からどう見ても、ただの七歳児だった。