第19章 暁
「まあ、指輪はまた今度だ。
………ルナ、これより木ノ葉を否定しろ。」
「わかりました。」
ルナは額当てに傷を入れようとした。
「待て!ルナ!」
イタチがそれを遮った。
「ルナ、お前は公式には死んだことになっている。だから、無理に入らなくて良い。」
「え、でも………」
「頼む……入らないでくれ。」
イタチはいつになく必死な様子で言った。
(イタチ兄さん………)
ルナはイタチの様子を見て、何も言えなくなってしまった。
(イタチ兄さんに心配かけたく無いし………やめておくか。
見守るだけなら、組織に入らなくたってできるし。)
「リーダー、すみません。やっぱり入れません。」
「いや、構わん。ルナには留守番をしてもらう。」
ペインは文句も言わずに許した。
死の天使と呼ばれているとはいえ、七歳の子供に無理強いは出来なかった。
(この子もきっと、数多くの闇を見てきたのだろう。)
ペインを操っている長門は、ルナに微かに同情した。
それでその日はお開きになった。
「………ルナ。」
二人きりになると、イタチがルナに何かを言いたそうにしていた。
(あ、月読のことか………)
ルナは話の内容に予想がついたため、慌てることなくイタチの言葉を待った。
しかし、イタチの言いたかったことは、ルナの予想とは違った。
「……ルナ………済まなかった。」
(俺がタイミングを誤った所為で………)
イタチはルナに両親を殺させたことを悔いていた。
(……あぁ、やってしまった。)
ルナはシスイにやるなと言われていたにも関わらず、イタチの代わりにフガクとミコトを殺し、
イタチを傷つけてしまったことを後悔した。
「イタチ兄さん、イタチ兄さんは、何も謝る必要は無いよ。全ては私が勝手にやったこと。
……………私こそ、力になれなくてごめん。」
「ルナ……ルナ………………」
ルナとイタチは抱き合って、止めどない贖罪の涙を流した。