第19章 暁
「ところで、その子は………?」
ペインが寝ているルナをジロジロ見ながら言う。
その場にいた他のメンバー、小南も、それが気になっていたようだった。
「俺の妹のルナだ。やむを得ず連れてきた。」
「ルナ……?その子が、死の天使、うちはルナか?」
「死の天使?」
イタチは聞き慣れない言葉を聞いて、聞き返した。
「最近、抜け忍組織のアジトが次々と襲撃され、アジトもろとも灰になった、と言うことが頻発していてな。
その実行者が、その子だと言う噂になっている。」
イタチは知らぬ間にそんなことになっていたことに驚いた。
(ルナ…そんな風に使われていたのか………)
イタチはルナの状況に全く気づいていなかった自分を不甲斐なく思った。
「ま、その子が木ノ葉を抜けて良かったな。もし抜けていなかったら、近いうちに戦うことになっていたかもしれん。」
「ああ………」
「で、その子も我が暁に入るのか?」
「……済まないが、それはルナが起きてからにしてくれないか?」
イタチはルナをよいしょと背負い直してから言った。
「良かろう。明日のあ………」
「入ります。」
ルナは突然目を開けて言った。
イタチはルナを下ろしながら言う。
「ルナ……いつから起きてたんだ?」
「ついさっき。私が木ノ葉を抜けて良かったなってとこから。」
ルナは特に気にした風でもなくそう言った。
無表情な顔とは裏腹に、頭の中は、
(小南ちゃん可愛い!小南ちゃん可愛い!)
で一杯だった。
「そうか………」
イタチは俯いた。
「貴方が暁のリーダーさんですか?」
ルナはペインの真正面に立って言った。
「いかにも。」
ペインの方は、七歳くらいにしか見えないルナが自分に堂々と話しかけたことに、少しばかり驚いた。
「私を暁に入れて下さい。」
「良かろう。死の天使と言われたお前の活躍を期待している。
あれ、もう指輪が無いな………」
ペインは懐を探って言った。
「えぇ……」
そのやり取りで、緊張していた空気が緩んでしまった。