第18章 十六夜の月
術者のルナにも、フガクとミコトの月読の様子が見えた。
無血革命は成功し、フガクは晴れて火影に。
うちは地区は移転して、より里の中心部に。
月読の世界の中では、うちは一族の誰もが幸せそうだった。
時は流れて、フガクは火影を引退し、サスケが次の火影に。
就任式で、フガクとミコトとイタチは、その様子を幸せそうに見ていた。
そこには、成長後のルナらしき人物も一緒にいた。
最後は、前よりも増えたうちは一族に囲まれて、二人一緒に、安らかに永眠した。
「フガクさん、ミコトさん…………」
……ザシュッ……ザシュッ………
月読で安らかに眠っている二人を、ルナはイタチの代わりに斬り殺した。
二人の身体が傾き、そして倒れた。
溢れ出る血が床に広がって、ルナの足先を濡らした。
任務中は気にならなかった血の匂いがやけにはっきりと感じられて、ルナは自分の罪を重く受け止めた。
こうなるまで何も手を打てなかったことに、自分の無力さを思い知った。
(ごめんなさい……私が馬鹿で無力なせいで、貴方達を救えなかった。)
仕方がないと割り切っていたつもりだったが、そう上手くは行かなかった。
フガクやミコトと過ごした温かい日々が、走馬灯のように頭を駆け巡り、ルナを苦しめる。
月読の世界にルナがいたことで、心から可愛がられていたことを実感し、申し訳なさが倍増した。
涙が止めどなく流れ、激しい悲しみから逃れるように、ルナは意識を手放した。