第18章 十六夜の月
その少し前。
ルナは何をすべきかわからないまま、うちは地区にやって来た。
(警務隊本部がもう襲撃されてる…………?
フガクさん、ミコトさん!)
ルナは何がしたいのか訳もわからず、がむしゃらに家に急いだ。
そして、フガクとミコトがいるであろう部屋に、窓から入った。
「ちょっと待った。」
ルナの突然の登場に、イタチは狼狽し、頭を抱えたくなった。
(ルナ………任務中のはずじゃあ………………まずい。)
それはフガクとミコトも同じだった。
(ルナの前で死ぬのか………酷なことをしてしまったな……)
「イタチ兄さん、フガクさん、ミコトさん………」
ルナは、何も出来ずに三人を見ていた。
「ルナ…悪かったな………また家族を失うことになって。
…………でも、聡いお前ならわかるだろう?」
「ルナ、一緒に暮らせて楽しかったわ。ありがとう。」
フガクとミコトの言葉を聞いて、ルナの目に涙が浮かんだ。
「フガクさん…ミコトさん………」
イタチはルナを直視できずにいた。
(まさかルナが帰って来てしまうなんて………)
ルナと戦闘はしたくない。
それに、戦って勝てるかと訊かれたら、正直…無理かもしれない。
(仕方がない。ルナ、ごめんよ。すぐに解いてやるから。)
「許せ、ルナ。
月読!」
思い余ったイタチは、ルナに月読をかけた。