第17章 惨劇前夜、儚い平穏
三日後、会合の後。
「一族の中でも写輪眼を持つ者だけが読める碑石だな。それも途中までだ。」
イタチとフガクは、うちはの石碑の前に立っていた。
「万華鏡写輪眼を持つお前ならもっと先を読めるだろう。」
「内容を教えろというのか?」
「それには及ばん。」
フガクはそう言うと万華鏡写輪眼を開いた。
「万華鏡?父さんも…」
イタチはフガクが万華鏡を開眼していたことに少し驚いた。
「第三次忍界大戦の時だ。俺の友が命を捨てて俺を助けてくれた。血の涙とともに万華鏡が生じた。」
自分が万華鏡を開眼した時のことを思い出して、イタチは拳をぐっと握った。
(シスイ………)
フガクはイタチのそんな様子には気づかずに喋り続ける。
「この碑石にはうちは一族の救いの道が記されている。
だが万華鏡写輪眼をもってしても後ろの方は読めない。俺達にはまだ先があるらしいな」
(その石碑が間違ってるんだよね…て言うか、いつの間に書き換えたのかな?)
ルナの影分身は二人の様子を姿を隠して見ていた。
本体は今頃、ならず者集団のアジトを潰している頃だろう。
(こっちもなかなか、しんどいわぁ。)
影分身は心の中で溜息を吐いた。
「だが途中までとはいえ、読んだ以上はわかるはずだイタチ。うちは一族が置かれている今の状況の間違いが。」
「だからとはいえそれを力で覆すと言うのは………」
イタチが万華鏡写輪眼をギラギラさせて言う。
「里の上層部は俺たちを恐れている。だから迫害するのだ。この写輪眼の力を恐れてな。」
「確かに。うちはが写輪眼の力で九尾を操るのではないかと。」
「それはうちはマダラの伝説だ。以来誰もそんなことはやっていない。できるかどうかさえわからん。」
(あーあぁ、マダラさんてば面倒なことしてくれちゃって…………)
ルナの影分身は頭が痛くなってきたので、ごちゃごちゃ考えるのはやめようと思った。