第17章 惨劇前夜、儚い平穏
「……ここかな?」
ルナは国境付近の街の外れに立地している二階建ての建造物を見上げて呟いた。
今日の任務は、ある抜け忍達の組織のアジトを殲滅せよ、というものだった。
暁ではないことは確認済みで、ルナはホッとしていた。
(暁殺しちゃったら、今後の展開に支障が出るからな……ていうか殺せるかわかんないし。)
建物の明かりはところどころまだ点いていて、一応周囲を警戒しているようだった。
明かりの点いていない部屋に窓から侵入し、寝ている抜け忍の喉を掻っ切った。
そんなことを何度か繰り返し、遂に明かりの点いている大部屋に入らなければならなくなった。
ガチャ
「…⁉︎おめえ、ナニモンだ⁉︎」
「教えて差し上げる必要も無いでしょう。あなた達は死ぬんですから。」
ルナは仮面の下で冷たく言った。
「風遁・風刃乱舞!」
真空の刃が、ルナの周りの抜け忍十人を一気に切り裂いた。
「おい、こいつ、ヤバいぞ…」
「みんな、逃げろ!」
逃げようとした抜け忍達は、その場ですっ転んだ。
「何だ⁉︎」
「おやおや、みなさん、鈍臭いんですねえ!
…ただのチャクラ糸に引っかかるなんて。死んでしまいますよ?
風遁・螺旋風砲!」
両手の指先に集めたチャクラと風を発射し、ルナはチャクラ糸で拘束した抜け忍達を一人一人、グチャグチャに潰していった。
「うわあああ!やめてくれぇ!ぐはぁっ…」
「あ、悪夢だ…ぐほっ…」
「なんなんだその術は!ぐふっ…」
抜け忍達の断末魔はやたら煩かった。
一人始末する度、その場にむせ返るような血の匂いが満ちた。
「最後くらい、口汚く怒鳴るのやめませんか?は〜あぁ…」
ルナはつまらなそうな表情のまま、アジトにいた抜け忍達を全滅させた。
その後、全員の顔を確認し、
「任務完了。」
と呟いた。
ルナはアジトの外へ出ると、
「氷遁・絶対氷壁・天球!」
と、アジト全体を覆う氷壁を築き、次に、
「火遁・豪火滅却!」
と、氷壁の上に開けた穴から強力な炎をアジトに当て、丸ごと焼き払った。
「やっぱり火遁は便利ですねえ。」
ルナは一人呟いた。
ただの灰になった抜け忍達とアジトに手を合わせると、ルナは木ノ葉に帰還した。