第16章 うちはシスイ
「まず、クーデターが実行され、里とうちはは全面戦争。」
「このままじゃ、そうなるよな……」
シスイが力無く言う。
「もう一つは……イタチ兄さんがある人物に選択を迫られ、選ぶ。」
「誰が、どんな選択を迫るんだ?」
シスイはごくりと唾を飲み込んで訊いた。
「ダンゾウが、里とうちは、どちらを選ぶのかイタチ兄さんに迫り、イタチ兄さんは里を選ぶ。
……結果、イタチ兄さんはサスケ以外の一族を皆殺しにする。」
(言ってしまった。)
ルナが恐る恐るシスイを見ると、シスイは考えこんでしまっていた。
(イタチなら、やりかねない……)
「これが、私の予想する一族の未来です。シスイさんはどっちがいいと思いますか?」
そう言ったルナは、後者が起こることを確信しているように、シスイには見えた。
「俺には……選べそうもない。」
「でも……もう、どちらかを選ぶしか無いんです。このままでは……」
「うむ……」
「……いや、やっぱり、シスイさんは選ばなくて良いです。」
ルナは急に顔を上げて言った。
「……どういうことだ?」
(まさか……)
「私が選びます。」
(イタチ兄さんに、そんなこと、させない。)
ルナは思い切って言った。
「私なら、抜け忍になっても、ここに隠居するだけで、特に問題はありませんし。
イタチ兄さんやサスケに会えなくなるのは寂しいですけど、二人が失うものに比べれば、なんてことはありません。」
それを聞いてシスイはルナの肩に手を置いて、ルナの目をじっと見つめた。
ルナは凝視して来たシスイを疑問に思った。
「シスイさん、どうかしましたか?」
「ルナ、お前は……イタチが、俺がそんなことを望むと思ってるのか?」
シスイの声は震えていた。
ルナはそのことには気がつかず、喋り続けた。
「いやぁ、イタチ兄さんもシスイさんも優しいから、そんなこと望まないのはわかってます。
でも……イタチ兄さんに犠牲を払わせるくらいなら、私がいくらでも代わりに払います。
それが私の存在意義です。」
ルナは微かに微笑んで言った。
「ふっ……お前達は、本当にそっくりだな。」
シスイはルナの言葉を聞いて、そう呟いた。