第16章 うちはシスイ
ルナとシスイは飛雷神で外様地区へ移動した。
そして、小さめの一軒家の前にやって来た。
表札には、既に、うちはシスイ、と書かれていた。
(やっぱり、元からこうするつもりだったんだな……………)
シスイは、ルナが何らかの方法でこの結果を予測していたことを確信した。
「ここを新居として使って欲しいんですけど……大丈夫ですか?」
外様地区のごく一般的な家屋だ、特に問題は無いだろうが。
「ああ。何から何までありがとう、ルナ。」
シスイはしみじみと言った。
「ところで……どうしましょうか?」
ルナはシスイの新居に設置してあった椅子に座ってシスイに向かい合うと、さっきよりも真剣な様子で言った。
「……そうだな…………」
シスイも、ルナの暗い表情から、クーデターのことを言っているんだな、とわかった。
この時、何故ルナがクーデターのことを知っているのか、シスイは引っかからなかった。
「そう、シスイさん、残念ながら、その眼はあくまで新しい眼なので、写輪眼ですらありません。
まあ、遺伝情報的には前の眼と同じなので、万華鏡を開眼することは可能でしょうが……」
「……クーデターには、間に合わない。」
「それに……フガクさん一人を黙らせたところで、他の者がリーダーシップを執るだけだと、思いませんか?」
「うむ……」
シスイは黙りこんでしまった。
「私も別天神を使えますが、流石にうちは一族全員を操るのは無理です。多分。
それに、失敗した場合非常に厄介なことになります。下手をすると、それがクーデター勃発の原因になるかも。」
「そうだよな……」
(万策尽きた、か……)
「で……どうしましょうか……どうしたらいいんでしょうか……」
ルナは頭を抱えて呟いた。
「ううむ……」
シスイにももう案は無かった。
二人はうちはの未来を憂いて、黙り込んだ。