第16章 うちはシスイ
ギイイイイイィィ……
扉が開くと、薄暗い室内に、大量のガラスケースがあるのがわかった。
そしてその中に入っていたのは………
「……ルナ、まさかこのケースの中身……………
全部、虫かっ⁉︎」
シスイは恐る恐る訊いた。
まるで、そうでなければ良いとでも言いたげに。
しかし、その期待は打ち砕かれた。
「へっへーん、アタリです、シスイさん!正確には、毒虫達ですけれど。
強力な毒を持つものばかり集めたんですよ!」
ルナはヘラっと笑いながら、得意げに言った。
「この中に、油女一族の操る数種類の毒虫もあります。捕まえるのに苦労しましたけどね。
そして、毒と解毒剤は、セットにするものでしょう?だから開発して、保存してたんです。」
「そ、そうか……」
ルナの説明の内容に、シスイは度肝を抜かれた。
確かに少し変わった子だとは思っていたが、まさかこんな趣味があったとは。
しかも解毒剤まで開発しているとは。
「ルナ……お前……すごいな………」
「いえ、それほどでも。
あ、あと、私は別に虫が好きな訳じゃ無いですからね。毒が好きなんです。
だから、この倉庫の爬虫類バージョンとか植物バージョンのことも忘れないで下さいね。」
ルナの補足説明に、シスイは更に仰天した。
(どんだけ毒好きなんだよ!)
シスイは暫く呆然とした。