第16章 うちはシスイ
約束の場所には、既にイタチが待っていた。
「シスイ!」
「イタチ……もうクーデターは止められそうにない。
ダンゾウに右目を奪われた。」
シスイの右の眼孔から血が流れている。
イタチはそんなシスイを何とも言えない顔で見た。
「恐らく左目も狙われる。その前にこの目はお前に渡す。」
シスイはそう言うと、躊躇いもなく左目を抜き取った。
「頼めるのは親友のお前だけだ。この里を、うちはの名を、守ってくれ。」
シスイはそう言って左目を差し出した。
それを、どこからともなくやって来た、イタチの烏が受け取った。
大量の烏の羽根が宙を舞った。
「……確かに受け取ったぞ。お前はどうするんだ?」
イタチは無表情でシスイに訊く。
「止めるなよイタチ。俺の友ならば。」
シスイは薄く笑ってそう言い、崖下に落下して行った。
「シスイーーーーーーーッ!」
イタチは堪えきれずに叫んだ。
頰を血の涙が伝い、イタチは万華鏡写輪眼を開眼した。