第16章 うちはシスイ
サスケが振りかぶって、真剣に手裏剣を投げ始めた。
放たれた手裏剣は、百発百中という訳では無いが、だいたい的の真ん中の方には当たっていた。
アカデミーの一年生としては、大したものだ。
「サスケ、結構できるじゃない!」
(手裏剣投げるミニサスケ、かーわーいーいー!)
ルナはサスケの可愛さにキュンキュンしていることは顔には出さず、自分のことのように嬉しそうに言った。
「兄さんと姉さんがいないときも、毎日頑張ってるんだ!」
(姉さんが、褒めてくれた!)
サスケはルナに褒めてもらって嬉しそうにニッと笑った。
「そっか。」
ルナはサスケの眩しい笑顔を見て、悲しくなってきた。
この笑顔を、護りたい。
でも、どうすることが本当に正しいのか、ルナにはわからない。
サスケを悲しませたくない。
でも、クーデターを止められなければ、いずれ争いになることは火を見るより明らかだった。
いかにルナが強くても、数百人を完全に操るのは、かなり難しかった。
影分身を使えばイケるかもしれないが、その場合ルナのチャクラが枯渇する可能性も、ゼロではない。
それに……そうやって保った平和を肯定できる気もしなかった。
しかし、もしクーデターが起こったとき……うちは側につくのが正しいとも、ルナには思えなかった。
勿論、イタチやサスケを傷つける者には一切容赦しないが、神隠れから来た、
いわば外様のルナには、"うちはの誇り"とやらは、いまいち理解できないからだ。
つまりこの件に関して……………ルナは、どうにもできなかった。
(私、お父さんやお母さん、イタチ兄さんの苦しみ、わかってたつもりでわかってなかったんだな……)
大切なものを天秤にかけ、どちらかを選ばねばならないこと、その辛さをルナは改めて思い知った。