第15章 暗部の任務
すると、しばらくして地面が微かに震えだした。
ルナはそれを気にせず、念動力を使い続けた。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
轟音がして、ルナの視線の先には、大岩があった。
岩石からパラパラと砂粒が転がり落ちた。
「ルナ様、ゆっくりおろして下さいね!」
「わかってる!」
いつまでも岩を持ち上げている訳にもいかなくて、ルナはおろそうと思ったが、
ゆっくり静かにおろさないと、災害が起こってしまうかもしれない。
遅ればせながら、もう少し小さいものを持ち上げれば良かった、とルナは思った。
「ふう、念動力の訓練は、今日のところはこんなもので十分でしょう。」
「そうだね。じゃあ、そろそろ那由他達の様子を見に行こうか。」
『そうですね。では、私の背中にお乗り下さい。』
鳥の姿になって大きな翼を広げた李蘭の背中に、ルナは乗り込んだ。
李蘭とルナは自らに迷彩隠れの術をかけ、昼間の空へ飛び立った。
ルナは神隠れに向かう途中、昨夜思い出した、前世の惨劇の犯人について思い出そうとしていた。
ルナの記憶が正しければ、あれは前世のルナの妹を酷い目に遭わせた卑劣な奴だ。
(確か少年院に入れてやった筈だったが、もう出てきたのか。)
まあ、やはり今となってはどうでも良いことだ、とルナは首を振って考え事を頭から振り払った。
そうこうしているうちに、神隠れに到着した。