第15章 暗部の任務
シスイが、心配そうにルナを見ている李蘭に、ルナをさすりつつ質問した。
「ルナは、どうしたんだ?」
それに対し、李蘭は少し困ったように言った。
「それが、私にも良く分からないのです。ただ、可能性があるとすれば…」
李蘭が目を伏せた。
「…暗部に入って、何かあったのか?」
「それは…多分、今日の任務の時に……………」
李蘭は口籠もった。
「教えてくれ。ルナの力になりたいんだ。」
シスイの真剣な態度に心を動かされたのか、李蘭は意を決して話し出した。
「実は、今日の任務のときに…ルナ様は、敵にトドメを刺そうとしたイタチさんを止めて、
…………………生まれて初めて、殺生をなさいました。
そのときには、そんなに衝撃を受けてはいらっしゃらなかったようでしたが、その反動かと。」
「そうか……」
シスイはそれだけ言った。
「………………ルナには、暗部は向いてないんじゃないのか?」
暫く考えて、シスイは言った。
(初任務でこれでは、数多くの任務の中で、ルナの精神はボロボロになってしまう。)
「私もそう思うのですが……ルナ様は、どうしても入らなければならないとおっしゃるのです。」
「………なぜだろうな?」
「それは…一番近くで、イタチさんを守るため、だと思います。
ルナ様のイタチさんへの思い入れは、並大抵のものではありませんから。」
「そうか………」
シスイは納得したようだった。
「でも、これじゃあ、ルナの方が先に参ってしまいそうだな。」
「そうなんですよ。しかし、ルナ様は一度決めたことはやり通す方。説得は困難です。」
「そうだよなあ……………」
シスイは考え込んでしまった。