第15章 暗部の任務
「………わかった。」
イタチはルナについていてやりたかったが、自分が会合に出席しなければならないこともわかっていたので、
ルナをシスイに託した。
ルナの目は虚ろで光がなく、手足も人形のように放り出していて、会合に出席していられる精神状態でないことは明らかだった。
シスイはルナを抱きかかえて集会所から出た。
「…ルナ…」
その間もルナは苦しそうに肩で息をしていて、シスイは胸が痛くなった。
シスイは自分の家に着くと、玄関先にルナを座らせて、抱き締めて背中をさすった。
「ルナ…落ち着いて、ゆっくり息をしろ。」
(一体何がここまでルナを追い詰めたんだ?)
シスイの知るルナは誰よりも強く、年齢の割にとても落ち着いていて、精神に脆弱な部分があるなんて思いもしなかった。
壮絶な過去を抱えて、よろめくことがたまにあっても、こんな風に、自分を制御できていないことは、今までなかった。
シスイとルナの他に誰もいないのを察知して、李蘭が、人間に変化して出てきた。
「ルナ様!」
李蘭も心配してルナの名を呼んだ。
ルナはそれも聞こえていないようで、ただ激しく呼吸していた。
しばらくして、ルナの呼吸音が、静かになってきた。
「…っ…シ、スイ、さん?」
ルナは微かに目を開けて、やっとのことで言った。
「ルナ、落ち着け…大丈夫だから。」
「はい…」
シスイがルナの背中を撫でてあやしていると、ルナは安心したのか、過呼吸で疲れたのか、眠ってしまった。
その寝顔は穏やかで、シスイは一安心した。