第12章 帰郷
それをくぐると、ルナが想像していなかった光景があった。
「湖……?」
月光を反射して煌めく湖水は、なんとも幻想的だった。
巨大な湖に、大小の島々が浮かんでいる。
湖の中心にある島には、巨大な塔が建っていた。
「うわぁ………」
「ここが、神隠れの中枢、親藩地区です。
………………あの塔の地下に、神が創った装置があります。」
「そう…私はどこに住んでたの?」
「この湖に浮かぶ島の一つです。行きましょうか。」
水上を歩いて李蘭に案内されて上陸した先には、見憶えのある家屋があった。
「ここは………」
「憶えていらっしゃいますか?」
「うん…ここで、私は生まれたんだね………」
ルナはその場にしゃがみ込んで、しばらく涙を流した。
そんなルナに、李蘭と那由他は優しく寄り添っていた。
暫くして泣き止んだルナは、顔を上げて言った。
「…………ありがとう。二人とも。ところで…質問があるんだけど。」
言いながらルナは自分では気づかずに、声のトーンを低くしていた。
ルナの雰囲気が変わったのが、李蘭と那由他にはわかった。
「なんなりとお訊き下さい。」
李蘭はルナの気迫に少し気圧されながら言った。
「そう、じゃあまず一つ。
……………どうやって、一晩で数万人も消したの?そして、みんなの身体はどうしたの?」
李蘭は躊躇ったが、意を決して言った。
「それは、神隠れに伝わる禁術、生命絶滅、によるものです。」
「ふうん、どんな術なの?」
「指定範囲の生命全てを刈り取り、跡形も残さない、という術です。
……………私達が、ルナ様のご両親に、この術をお教えしました。」
「そっか。」
予想していたことではあったが、ルナはあまりの衝撃にそれしか言えなかった。