第11章 "根"接触
「私は、この世界に絶対の正義があるとは、思っていません。
逆に、絶対の悪があるとも思っていません。
だから、私はいかなるときも、大切な人を守るために、自分の命を使いたいんです。
何だってやる覚悟があります。
そして、私の一番大切な人は、イタチ兄さんです。
イタチ兄さんを傷つけるものは、何であろうと、容赦しません………それは、シスイさんも例外ではないですよ?」
そう言って笑ったルナは、殺気とは違う、でもどこか暗く重いオーラを纏っていた。
「はは、こりゃ参ったな……でも、さっきも言ったが、俺はイタチを裏切ることは絶対にしない。」
シスイはルナの答えに驚きながらも、イタチの味方であることは保証した。
「わかってます。イタチ兄さんをお願いしますよ。」
ルナはシスイを見上げて言った。
「いつもルナの方が一緒にいるじゃないか。」
「まあ、そうですが………シスイさんはイタチ兄さんの唯一の友人なので。」
「そうか、ところで……里とイタチ、どちらが大事だ?」
シスイはルナの目をじっと見て言った。
ルナはそんなシスイを見て、唇に笑みを浮かべた。
「シスイさん……正義に、例外は無いんですよ………」
「そうか……」
(やはりか……)
シスイは少し残念そうに言った。
「シスイさん、そんなに引かないで下さいよ……そうだ、私の昔話をしましょうか?
…………李蘭、いいよね?」
「ええ、ルナ様のしたいようになさって下さい。」
李蘭は人型に変化して言った。
「いきなりだな……」
シスイは突然の提案に、少し戸惑った。
「興味ありませんか?」
「いや……聞こう。」
「じゃ、イタチ兄さんをおいてきましょう。」
「ああ。」
シスイは頷き、イタチを背負い直した。
ガラッ
「兄さん、姉さん、おか………あれ、兄さん?」
戸が開く音を聞きつけたサスケが、真っ先に三人を出迎えた。
「ただいま、サスケ。イタチ兄さんは、今ちょっと寝てるから、そっとしておいてあげて。
私は、シスイさんと少し話があるから。すぐ戻るから、心配しないで。」
ルナは出迎えてくれたサスケの頭を、よしよしと撫でた。