第11章 "根"接触
川に来ると、イタチは川の中の石の苔が少し削れているのに気づいて、そこを手でなぞった。
「イタチ兄さん、それは魚の擦った跡だよ………」
ルナはその周囲に自分達以外の足跡がないことを神通眼で確認して言った。
「ああ、ダミーですらないのか。」
イタチは少しがっくりして言った。
「それがダミーを作る最大の目的だな。何もかもが敵の痕跡に見えてくる。」
シスイはすっかり先生になっていた。
「疑心暗鬼ってヤツですか……」
ルナが呟いた。
「そういうことだ。追う側が少しでも混乱すれば、それだけ逃亡は容易になる。」
「これじゃあ俺一人で逃亡者を見つけるなんて無理だ。もっと追跡スキルを身につけないと。」
イタチは更にがっくりして言った。
「ハハハッ!半分は正解だな。」
そう言って笑うと、シスイは水筒の水を飲んだ。
「ほれっ二人とも、まあ飲めよ。」
シスイが水筒を差し出すが、ルナは少し混乱していた。
(これって……間接キスじゃあ…………)
「はい、ルナ。」
「う、うん。」
しかしイタチがそれを躊躇いなく受け取って飲み、ルナに渡してきたので、ルナも何とか飲んだ。
「お前らは優秀だからな。だから優秀じゃない奴の気持ちなんてわからないだろう。」
(特にルナなんて、別天神をコピーしていくくらいだしな………)
そう言うシスイは二人に話しながらも、ルナの方を凝視している。
(げっ……別天神のこと、忘れてた………)
ルナはささっとシスイから目を離した。