第11章 "根"接触
暫く行くと、シスイがしゃがんで木の表面を撫でた。
「苔が剥がれていますね。」
ルナはそれを見て呟いた。
「暫く痕跡を探してみるか。」
シスイが立ち上がって、あたりを見回した。
三人で、何かないか探してみることになった。
(神通眼!)
神通眼を密かに発動させて周りを見ると、少し様子がおかしいことに気づいた。
風景の配色がおかしいのだ。
周りは殆ど真っ青で、ところどころ緑色や黄色の足跡と、動くオレンジ色の塊が二つ。
(もしかして………サーモグラフィーか!)
「李蘭!」
ルナは囁いた。
『何でしょう、ルナ様。』
李蘭の声が頭に響いた。
「眼で温度がわかるんだけど、これも神通眼の標準的な能力?」
『いえ、それは恐らく、ルナ様固有の能力だと思われます。』
「やったぁ!」
ルナは小さく、歓喜の声を洩らした。
『おめでとうございます!』
李蘭も嬉しそうだった。
神通眼で見てみると、最近どこをどんなものが通ったのか大体わかってしまった。
シスイの追跡授業を受けたいルナは、そっと神通眼を閉じた。