第10章 下忍の任務
突然、行列の先頭から悲鳴が聞こえた。
「イタチ兄さん!」
「ああ!」
ルナとイタチは、ほぼ同時に駆け出した。
そして見つけたのは、血塗れで横たわるシンコと、オビトと対峙するテンマだった。
「シンコちゃん!」
ルナはシンコに駆け寄り、瞬時にその怪我を治した。
幸い、命に別条はないようだ。
(よかった……)
ルナがここにいることで、少なからず不確定要素が生じているので、原作で死んでいなくても、見逃す訳にはいかなかった。
例えば、オビトがもう刀を使っていること、などだ。
ルナが振り返ってテンマの方を見ると、テンマがあの台詞を言っている所だった。
「イタチ………借りは、返すぜ。」
そう言ってオビトに突っ込んでいくテンマ。
「ダメーーーーッ!」
ルナは瞬身でオビトとテンマの間に飛び込んだ。
突然突っ込んできたルナに各々が反応する。
「ルナ!やめろ!」
イタチが驚きながらも叫ぶ。
「ルナちゃん、そこを退いてくれ!」
テンマは目の前に立ちはだかるルナに、いつもよりも厳しい顔をしていた。
「……………」
オビトは無言でルナを見ている。
「テンマ君、今はちょっと寝てて!」
ルナは、そう叫ぶとテンマを一瞬のうちに幻術で眠らせた。
と言っても、テンマに向かって、人差し指を向けただけだが。
「来なさい。私が相手になります。」
更に驚くイタチを放って、ルナはオビトにそう言い放った。
「………面白い小娘だ。」
オビトが仮面の下で呟き、にやりと笑った。