第2章 結婚式日和。
君からLINEが届いたのは30分後だった。
『2時間近く遅れてるみたい!ごめん!』
「だから良いって言ってるでしょうがぁ…」
仕事の待ち時間にまた、ひとりごちてしまった。
『はいはい。気をつけてね』
すぐにつく既読の文字。
なんだかよくわからない動物のスタンプが送られてきて、
『え、ニノが優しい!どうしよ!』
っていうのも送られてきたから、既読をつけてからスマホを閉じる。
バカは放っとこ。
「二宮さーん、メイク次ですー」
俺は俺で、でっかい夢に向かって進んでるからさ。
「ねぇニノ、今日肌つやっつやだよ?どうした?」
「いやいや、何言ってんの大野さん。ワタシの肌はずっと綺麗でしょうが。」
事務所専属のメイクさんである大野さんが、俺を揶揄う。
「でも、マジで綺麗よ?なんか良いことあった?」
メイク室の鏡越しにジロッと見られてしまったから、
「ひみつぅー」
くふふ、って笑っといた。
「やだぁ、ニノなぁんかえろぉーい」
「えろいじゃなくて可愛いでしょうが」
「んふふふふ」
…大野さんも可愛いわ。普通に。
「ちょっと智くん?早くメイク終わらせてよ?」
メイク室の外から、マネージャーの翔さんが険しい顔を覗かせた。