第2章 結婚式日和。
ふわっと春の風が薫った。
花粉症の君には、ちょっと辛いだろうこの季節。
遠距離恋愛を始めて、もう何年経つだろう‥
君は君、でっかく描いた夢‥
かなってるといいけどなぁ‥
『ちょ、あ、ニノ』
「何よもう‥」
『飛行機遅れてるみたいでさぁ‥ごめん、遅くなる!』
「いいよ別に。アナタのせいでもないだろうし」
『いや、うん、ごめん!本当ごめん!』
「はいはい。」
『後で何時に着くかLINEしとくかっ‥』
ツーツーという、無機質な音が聞こえた。
バカか、こんな時まで‥って、
通話が切れたスマホを見つめて少し笑った。
「気をつけて帰ってこいよー…」
言いたかったけど言えなかった、ココロにくすぶってたものを
春の東京の空に投げた。
遠距離恋愛なんてもともと慣れてたし、
絶対大丈夫だと思ってたこの2年‥
飛行機が苦手な君を何度も乗らせたくはなく、
1年に1回しか会わなかった。
やっと‥やっと帰ってくるよ、君が。