第1章 まぼろし
「「なんで知ってるの?」」
俺の心の叫びと、ニノのからかうような声がぴったり重なった。
「さぁ…?」
「え?え?え?」
「あらあら…落ち着きなさいよ…」
「いやいやいや…」
「でもさ、あの子、体は良かったよねぇ…?」
ニノが、カバンの中から写真を二枚取り出した。
「はっ⁉︎」
そこには、紛れもなくヤツの痕跡があった。
「まぁ、あんまニノちゃん、舐めないことだね」
「ハイスイマセン…」
「んふふ、潤くんかーわいい」
「ってかさ!じゃあニノも抱いたってこと!」
「さぁ?どうだろうね?」
さっとキミの鷲色の瞳に、色が差した。
「じゃあ、たまには俺にも潤くんのこと、抱かせてね?」
耳元で囁かれて、俺はヘンな声を出しながらとびのいたのだった。
まぼろしだと思っていたあなたの影は、
キミと、ヤツのおかげで…
まぼろしじゃ、無くなったよ…?
…fin.